米国における「マーケティング」と「イノベーション」

今回の米国視察に於いて米国企業の(特に中小企業)のマーケティング戦略が見えてきた。

  企業の存在的成果を追求する場合、企業として三つの領域における成果を必要とする。第一は企業に於いて売上や利益である。この成果については詳しく触れることはないであろうが、指標は財務管理から会計管理への変更である。そして次に訪れるのが責任管理会計であろう 真新しい言葉であるがJim Collinsが発した会計学である。折しもJim Collinsは今回訪問したコロラド州に経営研究ラボを設けて活動している経営思想家である。キャッシュフロー経営のための会計管理、その中において専門的知識組織を運営するにあたり最も生産性の高い収益力を発揮するための会計管理手法である。

 我々中小企業が生き残るためにはより専門化が必要である。超専門化と言っても過言ではないだろう。その様な組織を運営する場合の管理学として学ばなければならない成果抽出手法であろう。。いち早く管理会計基準をを導入した米国。いまだに財務会計での指標経営、米国はさらに一歩進んで責任管理会計を導入しようとしている。今後大きな違いが生まれるであろう。


 次に企業ブランドを構築する価値への取り組みである。今回の米国視察で最も感じた部分である。多様化、多価値化が進む中で企業ブランドを構築するためには、より専門化された知識の統合が必要となる。その専門化された知識を“顧客の欲しがっているものは何か”を問い、よりパーソナル化を進める。そこに企業の卓越性が生まれる。

地域の特性を活かし、既存の商品を深く探求すると共に既存の強みを破壊しイノベーションを繰り返す中で新しい商品が生まれてくる。正しく“創造と破壊”である。巨大化する企業群の中で生き残るための唯一のマーケティング戦略であろう。狭義のビジョンと広義のビジョンとの統合である。企業の統廃合が進む米国の中でこの考え方が浸透している。世界を舞台に活躍している企業は当然であるが、我々中小企業はこの問題をより深く探求すべきである。そして、その成果のために組織改革をすべきであることを強く感じた。

 第三の領域は自らの可能性の追求である。米国ではレイオフが簡単に行われる。成果の出せないものは企業を去らざる負えない。しかし、3ケ月に一度の見返りも存在する。危機とモチベーションの世界である。組織に対する自らの貢献を問いいかなる自己開発が必要である。いかなる知識や技能を身につけるか、いかなる強みを仕事に適用するか追求しなければならない。

 学校型の教育は終わった。知識としての教育は成果を生まない。自らの卓越性に焦点を合わせて自己開発を触発していかなければならない。今回の米国視察の様に広い視野を学び、先進のマーケティングを肌で感じなければならない。徹底した卓越性の追求こそがこれからの人財育成の課題である。

 今回のミッションを通じて各企業の卓越性を強く感じた。オンリーワン企業への変革、それは生き残りをかけた戦略でもある。より深く、より繊細に・・・そこには日本の企業の歩んできた“お客様第一の精神”が生きづいているように感じた。グローバル化する日本、我々経営者が学ぶマネジメントも大きく変わっていくだろう。
by dokyu-nakanishi | 2013-11-12 11:34 | 日々想う事(感性を磨け)


中西 泰司
(なかにし たいじ)

株式会社どうきゆう社長。自転車レースチームの総監督でもある。

実践で培った経営・人材セミナーは社の内外を問わず人気。


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