能楽観賞

 今週後半は大阪出張です。仕事の関係と新しい業態開発の勉強に行ってきます。

6日(日)には札幌で「能楽観賞の会」が催されます。札幌市教育文化会館の能舞台が改修され、その新装舞台の披露です。昨日チケットが届きました。

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今回の上演は

   能 観世流「松風・見留」

   狂言 大蔵流「樋の酒」

   能 観世流「天鼓・弄鼓之楽」

                     3作を見に行きます。 一番の興味が「天鼓」です。

 天鼓とはある国に王伯と王母の夫婦が住んでおり、その子供の名前です。天から鼓が舞い降りて胎内に宿った夢を見たことからこの名前がつけられました。その後、天から本物の鼓が降りてきて、それを打つと何とも妙なる音がして聴くものを皆感動させ喜びの声で満たされました。

 これが帝の耳に入り、その鼓を朝廷に差し出すように命ぜられました。ところが天鼓はそれをいやがり山中に隠れるのです。しかし役人に見つかり呂水に沈められます。その後、その鼓はだれがたたいても鳴る事がなくなりました。

 しかし、ある時、王伯が朝廷でその鼓を打つと、その音色は悲しくも心に澄み通る音色でした。皇帝は天鼓の死と家族との絆を感じ、天鼓の供養をします。そのとき、天鼓が亡霊となって現れその鼓を打ち、舞楽を舞うのですが、夜明けと共に幻のように消えていくのです。

簡単にストーリーを説明しました。

 童話のようなストーリーですね。この作者が一説では世阿弥(ぜあみ)という人物です。この人をちょっと追ってみました。

 1363年の南北朝時代に人気スターの子として生まれるんです。でも波乱の人生を過すんですね。世阿弥は、名実ともに観世座のリーダーとなり、演出・主演を兼ねるシテ役者として一座を束ねていきます。順風満風の人生を送っているのですが、唯一の悩みは後継者問題、子供ができなかったのです。やっと授かった長男の十郎元雅、なんですが30台の若さで客死するのです。自分の思想を能に託した世阿弥は娘婿の金春禅竹に託そうとするのですが、永享6年(1434年)、72歳の世阿弥は突然、都からの追放を言い渡され、佐渡に配流されるのです。そして81歳のとき佐渡で命を落とすのです。

 この波乱の人生の中で書き上げた「天鼓」この天鼓(てんこ)という子供が何かしら世阿弥と私はダブってくるのです。王伯と王母の夫婦に大切に育て上げられた天鼓、輝きを発する前に客死され、その悔いが亡霊となってあらわれる、それは世阿弥が佐渡から放ったメーセージーに通ずるものがあるように感じます。全くの素人の妄想ですから・・・・。

 この内容を能で表現するってどうなるのでしょうね。興味深々です。初めての能なので私はまるっきり分かりません。ですから、登場人物やストーリーをとりあえず“丸暗記”していきますそして「この場面はこのように演じているんだ。」と納得できたらとても楽しいと思います。

 更に、演舞と共に謡が披露されるのですが、きっと台詞のような感じがします。無声映画の弁士のようなものなのかな~。だから台詞も暗記していきます。日本の古典芸能のです。真摯に学んできます。ちょっと予習しておかなければ・・・

題目「天鼓」

 分類:四番目物 遊楽物(ゆうがくもの)

 作者:世阿弥(一説)

 季節:秋(7月)

 場面:前場・・中国・後漢時代-王伯の家および皇帝の宮殿

    後場・・呂水(架空の河)のほとり

■登場人物

  前シテ:王伯

  後シテ:天鼓の亡霊

  ワキ:勅使

  アイ:勅使の従者

■面:前シテ・・・阿古父尉(あこぶじょう)、小牛尉(こうしじょう)、小尉(こじょう)

   後シテ・・・童子、慈童(じどう)

■装束:前シテ・・・尉髪(じょうかみ)、水衣、着付・小格子厚板(無地熨斗目)、腰帯、           扇。また、白垂(しろたれ)・唐帽子(とうぼうし)にもする。

    後シテ・・・黒頭、着付・縫箔(厚板唐織)、半切、厚板唐織・壷折(袷法被)、腰            帯、唐団扇(とううちわ)。

    ワキ・・・・着付・厚板、白大口、側次、腰帯、扇。
by dokyu-nakanishi | 2011-03-02 06:03 | 日々想う事(感性を磨け)


中西 泰司
(なかにし たいじ)

株式会社どうきゆう社長。自転車レースチームの総監督でもある。

実践で培った経営・人材セミナーは社の内外を問わず人気。


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