社会セクターに必要な「規律の文化」

先の見えない時代、各企業の経営者は色々な情報を求め異業種交流会や勉強会など業種、業態の垣根を越えて任意の社会セクターの組織に加入している。大変良い事であると思う。しかし、その運営について往々にしてトラブルが発生する。それらを客観的に見ていると面白い発見がある。

ある例として捉えてほしい。任意の社会セクターをより充実した団体へと飛躍させるには「もっと企業の組織体に近づけるのが早道」と、企業経営の手法を取り入れる場合が多い。特にそのリーダーが経営において成功を収めていればいるほどその傾向は強くなる。果たしてその手法で非営利活動が飛躍を遂げるかと言うとNO!である。

 何故ならば「企業経営の原則」と「組織の原則」は異なるからである。良く私が任意団体の活動をお手伝いすると「おたくの会社と同じように運営したいの?」と聞かれる。全くナンセンスな質問である。

 任意団体で活動していると、経営者の集まりでありながら規律が欠けていることに痛感する。規律ある計画、規律ある会員、規律ある統治、規律ある資源の使い道が必要である。しかし、それは企業経営の概念ではない。何故ならば成功した企業がしっかりとした規律の文化が存在したからこそ成功したという裏付けはない。しっかりとした規律の文化がなくても良好な企業へと成長することは可能なのである。

 しかし、任意団体ではそうは行かない。規律ある人材が、規律ある考え方によって規律ある行動をとる文化が、その団体になければ飛躍する任意団体になることは出来ない。
すなわち「規律ある文化」の構築とは企業経営の概念ではなく飛躍する組織原則の概念なのである。この文化の導入こそが成功の原則であると私は思う。

規律ある計画とはビジョンである。正しい考え方によるビジョンとその具体的行動である。規律ある会員とは良識である。良識ある大人としての言動である。規律ある統治とは規律の中での分化を前提とした秩序づけである。規律ある資源とは各会員の知識と時間であり、使い道とはビジョンに対する成果(使った資源に対してどれほど効率的に社会的使命を達成したか)である。

長期にわたって社会に影響を与える組織の構築である。売上や利益といった財務実績ではない。そこに企業経営ではない組織の成果がある。
 組織が組織の使命に照らし合わせてどのような実績を出したのかを評価するのだ。だからこそ規律ある文化が存在する組織を構築しなければ高い使命は達成されず。場当たり的な成果を追求するという誤った方向へと進んでしまうのである。

社会セクターを飛躍させるという事は、企業経営よりも難しいことかもしれない。しかし、「誰をバスに乗せるか」というこの重要さを知っていれば必要な人材はおのずと集まってくるだろう。
by dokyu-nakanishi | 2014-02-10 15:53 | 日々想う事(感性を磨け)


中西 泰司
(なかにし たいじ)

株式会社どうきゆう社長。自転車レースチームの総監督でもある。

実践で培った経営・人材セミナーは社の内外を問わず人気。


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